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リチウム空気二次電池 |
リチウム空気二次電池の特徴と性能
最近、日本でも日産リーフや三菱アイムーブなど、様々な電気自動車が公道を走っているのを見かけますが、これらのリチウムイオン電池(LIB)を搭載した電気自動車は航続距離が短いことが課題となっています。リチウム空気二次電池(LAB)は、現行のLIBの10倍以上の高容量を示す可能性を秘めており、現在研究開発が急速に進められている電池の一つです。この電池では、正極の反応に空気中の酸素を利用するため、電池内部に正極の反応物質を封缶する必要がなく、軽量化や高容量化、低コスト化が見込まれています。
ナノ構造制御した新規空気極触媒の創製
新しいコンセプトに基づく触媒
LABにおける正極反応では、触媒(固相)・電解液(液相)・空気(気相)の3相界面で反応が進行します。そのため、触媒性能はそれ自身の反応活性だけでなく、反応表面積の広さや、電子伝導性による影響を大きく受けます。特に、反応表面積という観点ではナノスケールの金属や金属酸化物の粒子をカーボン粉末に担持することで、優れた触媒性能を有する触媒を得ることが可能です。当研究室では、これらの触媒に要求される因子を最大限に考慮した酸化マンガンナノシートとカーボンナノチューブ(CNT)を複合化した新しい触媒を提案し研究しています。
ナノシート複合体触媒の合成とLAB正極への応用
触媒試料の合成や性能評価は、主に研究室内で行っています。合成法としては、溶液法を用い、酸化マンガンナノシートのコロイド溶液の調整やCNTとの複合化の後、熱処理を行うことで、目的の触媒試料が得られます。触媒活性(酸素還元・酸素発生)の評価には、主に回転リングディスク電極装置を用いています。また、つくば市にある(独)物質・材料研究機構のご協力のもと、LABコインセルを作製し、実際の電池性能についても検討を進めています。
電解液中のイオンの移動を速くすることができれば、Li空気二次電池やキャパシタなどの電気化学デバイスを更に高出力化することができます。
PGSE-NMR法は、通常のNMR本体に対し、数mm程度の磁場勾配を発生することのできるプローブを装着し、Fig.1のように測定試料に時間間隔を変えて磁場勾配パルスδを印加することで、溶液中のイオンや溶媒の輸送速度(自己拡散係数D)を算出する方法です。
Fig. 1 Hahnのパルスシーケンス
実際には、Fig. 2(a)のような連続して減衰するNMRスペクトルを得て、これをFig. 2(b)のような図にプロットし、Stejskalの式を用いて、その傾きからD値を算出します。
Fig. 2 (a)得られるNMRスペクトル (b)Stejskalの式に従うプロット
※1 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (http://www.nims.go.jp/nmcp/index.html)
※2 元(独)産総研 早水紀久子氏 (http://www.ribm.co.jp/RDsupport/nmr_document/NMR_20131129.pdf)