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ハイブリッドキャパシタ |
キャパシタの種類と現状
近年、低炭素化社会の実現に向けて電気自動車(EV)の普及が急速に進められています。従来、EVと言うと、Liイオン電池やニッケル水素電池を動力源とすることがメインです。しかし、2013年にはマツダのアテンザやホンダのフィットのような電気二重相キャパシタ(EDLC)を搭載したEVが市販化され、話題となりました。EDLCは、両極に活性炭(AC)電極を用い、これらの電極表面へのイオンの吸着・脱離反応のみを利用するため、高出力・長寿命であることが特徴です。しかし一方で、電極の材料内部までは使用しないため、エネルギー密度が低いことが、課題となっています。これに対し、最近Liプレドープした黒鉛負極を用いたLiイオンキャパシタ(LIC)が開発されました。LICは、EDLCに比べてセル電圧をより高く且つ安定化できるため約3倍のエネルギー密度を達成しています。
シリコン負極を用いたハイブリッドキャパシタ(Si-CAP)の特徴と性能
LICのように片極をイオンを吸蔵・放出できる電極に代替したキャパシタをハイブリッドキャパシタと言います。当研究室では、黒鉛の10倍以上の理論容量(約4200
mAh g-1)を有するシリコンを負極材料として採用し、LICの更なる高エネルギー密度化を図っています。その結果、作製したシリコンハイブリッドキャパシタ(Si-CAP)ではLICを超えるエネルギー密度が得られることを実証し、また、これまでLiイオン電池(LIB)では劣化が激しく、実用化が困難であったシリコン負極をLICへ適用することで安定して動作させることに成功しています。また、シリコン負極へのLiプレドープ法を工夫(添加剤、真空含浸など)することで、セル性能を大きく向上できることも見出しています。
Si-CAPセルの作製と充放電試験による評価
シリコン電極の作製は、(一財)電力中央研究所のご協力のもと、シリコン粉末に導電助剤とバインダーを添加・混練し、得られたスラリーを銅箔に塗布・乾燥することで行っています。次に、このシリコン電極をドライボックスに移し、種々の条件でLiプレドープ処理を施します。最後に、正極にAC電極、電解液にLiBF4/PCを用いてコイン型セルを組立てて完成です。このようにして得られたSi-CAPの試作セルを研究室内の充放電装置を用いて評価し、サイクル寿命やレート特性など様々な性能について調査していきます。